令和5年7月3日付で、三重県行政書士会より特定行政書士ワーキンググループ代表の委嘱を受けました。同ワーキンググループでは、日本行政書士会連合会が実施する特定行政書士法定研修の事務につき三重県行政書士会会員に関連する事務等を担当しています。

 こちらのページでは、特定行政書士制度の周知と法定研修受講者数増加に資する目的で、制度概要や法定研修の概要等をご紹介します。

特定行政書士とは?

  • 特定行政書士制度は、平成26年の行政書士法改正により新たに創設された制度になります。
  • 行政書士法第1条の3第2項の規定に基づき、日本行政書士会連合会が実施する研修(特定行政書士法定研修)の課程を修了し、考査に合格することで、特定行政書士となることができます。

行政書士ができること・特定行政書士ができること

行政書士は、行政書士法に基づく国家資格者で、他人の依頼を受け報酬を得て官公署に提出する許認可等の申請書類の作成及び提出手続代理契約書等の権利義務に関する書類の作成並びに事実証明に関する書類の作成等を行うことができます。

特定行政書士は、「行政書士が作成した」官公署に提出する書類に係る許認可等に関して、行政庁に対する「不服申立て」の手続きを代理し、及びその手続きについて官公署に提出する書類を作成することを業とすることができます。

特定行政書士法定研修

 特定行政書士になるためには、日本行政書士会連合会中央研修所のもとに第三者機関として設置した特定行政書士研修委員会の答申を受け決定した行政法等のカリキュラムで構成された20時間の講義考査からなる研修を受講する必要があります。

 制度発足時は、会場による受講のみでしたが、近年ではVOD視聴による受講となり、時間や場所的な制約が大きく下がりました。(考査は会場での実施になります。)

不服申立ての具体例

① 建設業許可申請の不許可処分に対する不服申立

•建設業許可申請を行ったところ、経営業務の管理責任者としての経験年数が要件を満たしていないこと、経営業務の管理責任者の常勤性に疑義があることを理由に不許可となった。

→経営業務の管理責任者としての経験年数や常勤性について、その判断を見直す余地がある場合に不許可処分に対する不服申立てを行うことが想定される。

② 難民の認定申請が不認定となった

•申請者は、本国において民主化運動指導者らと社会活動を行い、本邦においても反本国政府団体に加入し活動を行っていることなどから、帰国すれば本国政府による迫害を受けるおそれがあるとして難民認定申請を行ったが、デモへの参加程度にとどまり、難民条約上の迫害のおそれがあるとは認められないとして不認定となった。

→デモへの参加程度であっても、本国政府による迫害を受けるおそれがあるとして、難民不認定処分に対する不服申立てを行うことが想定されます。

現状

 令和5年8月15日現在、日本行政書士会連合会には52,172の行政書士が登録されています。その内、特定行政書士は、4,886となっています。

 また、三重県行政書士会には738の行政書士が登録されており、特定行政書士は、71となっています。

 制度発足から、約10年になりますが特定行政書士は全体の1割にも満たないのが現状です。

私見ではありますが、主な要因として高額な受講料に対して、活用の場面が限られているといった声が多いように感じます。

 特定行政書士ができることでも見たように、特定行政書士が行えるのは「行政書士が作成した」官公署に提出する書類に係る許認可等に関しての不服申立です。申請者本人等が行った申請は対象外となります。本来行政手続きのプロである行政書士が不服申立の具体例①のように許認可等の申請した場合、そもそも不許可になるようでは困ります。

 また、具体例②のような難民認定の申請を取り扱う行政書士はそれほど多くなく、同じ外国人関連業務であっても在留資格に関する諸申請は、不服申立の対象外となっていますので、これらの業務を専門に扱う先生方は取得しても活用の場面がないと感じてしまうのも頷けるところです。

行政書士証票と行政書士徽章

 行政書士には、その身分を証明するための行政書士証票というものがありますが、特定行政書士になると「研修を修了した特定行政書士である」といった文言が付記され、色も若干変更されます。

 また、特定行政書士になると、特定行政書士専用の徽章を着用することができます。特定行政書士徽章は通常の行政書士徽章より若干サイズが大きく、裏面にはシリアルナンバーが刻印されています。

今回分は令和5年12月1日~令和6年1月5日まで全行団ショップにて申し込み受付中です。

今後の展望

 今後、日本行政書士会連合会では、特定行政書士制度の活用の場面がより増えるよう、法改正の働きかけなど様々な活動を続けているということです。

 各行政書士の先生方には、特定行政書士制度の周知にご協力いただくと共に、より高いレベルの法律専門職として国民の権利利益の実現に資することができるよう、一人でも多くの先生方に特定行政書士法定研修の受講をご検討いただければ幸いです。

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