帰化許可申請とは?「申請準備から日本国籍取得後の手続き」までを解説!

帰化とは?

 帰化とは、現在日本国籍を有していない方が、日本国籍を取得することが帰化であり、そのための手続きが帰化許可申請になります。帰化許可申請は、国籍法によりその手続きに関する事項が定められおり、審査を経て法務大臣により許可されます。帰化が許可されると、官報に申請者が日本国籍を取得した旨が公告されます。

 この記事では、一般的に「普通帰化」と呼ばれる国籍法第5条に基づく帰化許可申請手続きの「帰化の条件」「必要書類」「申請」「許可後」の大きく分けて4つの点について順番に解説していきます。

帰化の条件(国籍法第5条の条件)

 帰化許可には一定の条件があり、国籍法第5条では次の6つの条件が定められています。

  • 引き続き5年以上日本に住所を有すること。
  • 18歳以上本国法によって行為能力を有すること。
  • 素行が善良であること。
  • 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること。
  • 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと。
  • 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。

必要書類

 帰化の申請は、申請者の住所地を管轄する法務局又は地方法務局の長を経由して行います。申請には申請書の他に、帰化に必要な条件を備えていることを証明するための資料を提出します。

 ここでは、帰化許可申請に必要な基本的な書類をご紹介します。

必須の書類として以下のもの

  • 申請書、申請書には写真を貼付します。写真サイズは5×5㎝のものを準備します。
  • 親族の概要を記載した書面(過去に婚姻していた場合は前配偶者等についても記載します。)
  • 履歴書(出生から現在にいたるまで、居住歴やアルバイト歴についても記載します。なお、履歴書は市販の ものではなく法務局指定の書式になります。)
  • 帰化の動機書(原則として直筆で記載します。)
  • 国籍、身分関係を証する書面(国籍証明書や本国の戸籍謄本、新旧パスポートの写し等)
  • 住所歴を証する書類(住民票や戸籍の附票)
  • 宣誓書
  • 生計の概要を記載した書面
  • 事業の概要を記載した書面
  • 在勤・給与証明書
  • 卒業証書又は卒業証明書、在学証明書(又は通知表の写し)
  • 源泉徴収票、各種納税証明書(消費税・法人税・事業税・市県民税など、同居しているかた全員分
  • 確定申告書、決算報告書、許認可や資格等の証明書の写し
  • 運転記録証明書又は運転免許経歴証明書
  • 技能、資格を証する書面(運転免許証の写し等(両面)
  • 自宅付近の略図
  • 勤務先付近の略図
  • 事業所付近の略図

その他の書類として以下のもの

  • 在留カードの写し
  • 戸籍届出書記載事項証明書(婚姻届・出生届など)
  • ローンの返済明細書
  • 会社の登記事項証明書
  • 不動産登記事項証明書
  • 同居の家族・住居等の写真
  • 年金手帳、ねんきん定期便(誕生月に毎年送られてくるもの)
  • 出入国記録情報(パスポートへの証印が無くなる為)

 以上が帰化許可申請に必要な書類になります。書類はすべて正副2通準備します。正本1通は原本、副本1通は原本のコピーで大丈夫です。

申請の予約

 帰化許可の申請は、書類の確認担当官による面談があるなど、ある程度時間がかかります。そのため、担当官との時間調整が必要になるため、いつでも受け付けをしてくれるというわけではありません。

 まずは、住所地を管轄する法務局又は、地方法務局に必ず電話等で申請の予約をするようにしましょう。

申請・面接

 申請の予約をした日時に法務局等へ出頭します。申請書類や当日持参するように指示された物を忘れないように注意してください。

 簡単な書類の確認がされ、申請が受理されれることが第一歩です。(不足書類があれば教えてくれます)

 申請が受理されれば、申請書類の精査とともに関係機関への照会が行われます。

 これらが終わると、担当官との面接が行われることになります。担当官との日程調整が必要になりますので、法務局からの電話連絡等に対応できるようにしておきましょう。法務局からの連絡や、実際の面接は平日の昼間に行われますので、お仕事をされている方には難しい面もあるかと思いますが、なんとかやり繰りするようにしましょう。

 面接で聞かれる内容は、申請者の状況により様々ではありますが、何よりも「嘘をつかず正直に、聞かれたことに素直に答える」ことを心掛けてください。

日本語テスト

 帰化許可の申請においては、日本語のテストが行われることもあります。テストといっても資格試験のような難しい物ではなく、小学校3~4年生程度の読み書き(JLPT日本語能力検定4~3級程度です。

 帰化許可を申請できる年数程度日本で生活している方にはそれ程難しい問題ではないかと思いますが、それなりに対策をしておきましょう。

審査期間

 帰化許可は、申請してからおよそ半年(6~10ヶ月)程度の審査期間があります。

 審査期間中であっても、法務局等からの連絡に対応できるようにしておいてください。

許可後

 帰化が許可されると、官報にその旨が公告され。法務局長より「帰化者の身分証明書」が申請者に交付されます。

 交付された「帰化者の身分証明書」を市区町村に持参し、帰化届を提出します。また、並行して在留カードの返納、本国の国籍喪失手続きなどの手続きも忘れないようにしましょう。

不許可の場合

 年金や社会保険の未納、交通違反など何かしらの理由で帰化が許可されない可能性があります。

 帰化許可の申請が不許可の場合、すぐに再申請をすることはできません。 

 不許可の理由は明確には示してもらえませんので、あくまで推測でしか対策をすることはできませんが、心当たりのある点を丁寧に検討し、不許可理由となり得る点を改善した後に改めて帰化許可を申請するようにしましょう。

行政書士によるサポート

 帰化許可の申請は、申請者が自ら法務局等へ出頭する必要がありますので、行政書士による代理申請はできませんが、書類の準備や法務局等との日程調整、面接の事前練習などをサポートさせていただくことは可能です。

 帰化許可申請には多くの書類等が必要になりますので、これらの作成や関係機関からの収集(外国語書類に関しては翻訳も)までを申請者自身が行うことは困難な場合もあります。また、帰化許可申請には面接も行われますので、いきなり本場に挑んでは、思うように受け答えできない可能性もあります。

 必要書類等をしっかり準備し、少しでも不安を解消したうえで申請できるように、帰化許可申請は、ぜひ、行政書士にご相談ください。

 

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